映画オッペンハイマーを観てきました

感想は、「何を今更」でした。

何年ぶりだろうか、映画館で映画を観たのは。子供を連れてナルトを観に行った以来か。最近はアマプラでしか観ていなかった。そんな私が話題のオッペンハイマーを観てきました。日本人にとってはセンシティブな原爆、そして、そんな内容なのにアメリカでは大ヒットと、非常に興味をそそる。

そんな期待値の高い状態で観たのですが、個人的にはあまり面白くなかった。アメリカでなぜ大ヒットしたのか非常に疑問。アメリカ人は、オッペンハイマーを伝記本とかでよく知っているのだろうか? 私は原爆を作った中心的な人物としか認識していなかったので、映画の半分を占める法廷映画的な部分は、ちょっと知識不足で楽しめなかった。

多分、NHKの大河的に1年がかりのドラマにしてくれれば楽しめたと思う。そう、この映画は1年がかりの大河を3時間のダイジェストにしたようなもので、それでは面白くないからと監督ノーランお得意の時間軸を行ったり来たりする手法や、幻覚的なシーンを加えた感じ。大河的と感じる部分はまず登場人物にある。アインシュタインを始めとする物理学者の面々やアメリカ大統領トールマン。次に主人公の時間軸。留学する学生時代から始まり、教授時代、ロスアラモスの所長、そして戦後。大河だったら、1月〜3月は学生時代、4〜7月が教授時代、8月からマンハッタン計画に参加、11月に原爆実験が成功し終戦を迎え、12月は戦後の活動部分になるだろうか。これを変なダイジェストにしてしまった感じ。原爆の実験までを映画の半分に収め、残りは戦後の活動部分をカットし、一気に10年近く飛び、米国原子力委員会公聴会シーンが後半部分を占めている。

この公聴会シーンで重要なのが、第二次世界大戦後のアメリカ国内での赤狩りなのだが、それがどの程度のものだったのかあまり知らないので、法廷映画的な公聴会における登場人物の心情がいまいち解らない。最終的には、主人公のオッペンハイマーの心情がどうかが主であるので、割り切って観ればよいのだろうけど。
ただ、主人公のオッペンハイマーの心情部分、科学者としての探究心や野心や、大量破壊兵器を手掛ける罪悪感などの葛藤の部分、そして恋愛部分など、映画の主なんだろうけど、なんか普通じゃない? むしろ、原爆を落としたアメリカによる映画で、そんな葛藤などは、何を今更となるだけだった。

こんな映画でなぜアメリカでヒットしたのか、個人的には全くわからない。勝手な妄想をすると、日本におけるジブリ映画のように、ノーランなら面白いだろう、ノーランなら人気になるだろうということだけで、ヒットしたのでは思っている。もしくは、バーベンハイマーを楽しむために、ピンクの衣装でオッペンハイマーを観るという行為自体を楽しんだだけなのではなかろうか。

この映画は、私のような凡人向けではない。ガッツリ3時間、アクションシーンもなく、会話だけで進行していく。背景の説明はなく、会話からその背景を推測、もしくは、ガッツリ知識を持った状態で観ないと、何の会話をしているのかわからなくなる。しかも時間軸が行ったり来たりする。休憩できるシーンはなく3時間集中して観ることのできる玄人向けなのだ。

GWなんかに映画館にきてポップコーンを買う列に並んでしまったために、映画の冒頭のアインシュタインと挨拶を交わすのシーンを見逃してしまった人がちらほらいたが、最後に効いてくる大事なシーンなのに・・・。彼らは3時間楽しめたのだろうか。

私は、あまり楽しめなかったし、あまり面白くなかった。が、しかし、久々の映画館で、しかもIMAXデジタルシアターの音響が楽しめた。GWの最終日としては、なかなか良かったのではないでしょうか。